最古の能楽映像発見

フランスのアルベール・カーン博物館で見つかった

ネットニュースはいつ消えるか不安なので、保存としてコピーさせていただきます。

現存最古の能楽映像と確認 1912年に撮影された5本

 早稲田大学演劇博物館は4日、大正元(1912)年に撮影された現存最古の能楽映像を確認したと発表した。仏銀行家のアルベール・カーン(1860~1940年)が日本に派遣した撮影隊によるもので、児玉竜一早大教授は「100年前の舞台を伝える、能楽史上貴重な映像」と話している。
 確認されたのは、パリ近郊のアルベール・カーン博物館が所蔵する「橋弁慶」「小鍛冶(こかじ)」など5本。白黒の無声映像で、演目の主要部分が各2~3分間収録されている。京都・仏光寺の能舞台で10月30日に撮影され、京都能楽界の重鎮だった金剛謹之輔(こんごうきんのすけ)(1854~1923年)の出演と特定された。これまでは、法政大学能楽研究所所蔵の「名家の面影」(昭和7年)が最古とされていた。
 来年1月に早大で開かれる国際シンポジウムで公開される予定。

産経新聞 2011年8月4日(木)18時38分配信 – Yahoo!News

早稲田大学のプレスリリースに、新聞記事よりもう少し具体的なことが書いてありましたので、こちらもコピーさせていただきます。

1912(大正元)年に京都で撮影された現存最古の能楽映像
演劇博物館GCOE日本演劇研究グループの調査で判明

 フランスのアルベール・カーン博物館に所蔵されていた能楽の映像が、大富豪アルベール・カーン(Albert Kahn, 1860-1940)が日本に派遣した撮影隊によって1912(大正元)年10月30日、京都・佛光寺の能舞台で撮影されたものであり、現存最古の能楽映像であることが早稲田大学坪内博士記念演劇博物館(館長・竹本幹夫)のグローバルCOE日本演劇研究コースの研究グループ(児玉竜一教授、原田眞澄研究助手ほか)の調査で判明しました。
 これまでのところ、最も古い能の映像は、法政大学能楽研究所に収蔵されている1932(昭和7)年以後のフィルム「名家の面影」とされていました。調査では佛光寺に残されていた日誌や能舞台の当時の様子を調べるとともに、写真と今回の映像を照合するなどして具体的な日時を特定、さらに20年古い映像であることを明らかにしました。近代能楽史史上極めて重要な資料であるとともに、初期映画研究においても第一級の資料となります。
 能楽のフィルムには、幕末から明治、大正にかけての京都能楽界の重鎮、金剛謹之輔師による「小鍛治」、「隅田川」、「羽衣」、「望月」、「橋弁慶」の主要な部分が、それぞれ2~3分程度収録。「切れのある鮮やかな舞と、朗々たる謡を特徴とする芸風であった」という口伝通りに演じる金剛謹之輔師の姿が映されています。ワキ方の出演者については引き続き調査を行っています。
 また、アルベール・カーン博物館には同じく1912年に撮影されたと見られる京舞「鉄輪」、「三国一」、「わしの在所」のフィルムも所蔵されていることがわかり、京都祇園町の芸妓・吉川一子や舞妓・松本とめらによる京舞の映像が同様に2~3分程度収録されております。これらの京舞のフィルムも、舞踊研究において非常に貴重な資料といえます。
 これらのフィルムは、能楽研究および舞踊研究、映画研究など多方面の研究に資すること大である重要な映像資料になります。現在、各専門家によりさらなる調査・研究を進めており、2012年1月27日~29日に本学で行われるグローバルCOE国際シンポジウム「Acting」での公開を予定しております。国際シンポジウムの報告会では、映像を見ながら現段階での研究成果を報告する予定です。

早稲田大学プレスリリース2011/08/05

能楽学会能楽フォーラム(関西)でも見られます

記事の最後には早稲田大学でのシンポジウムで公開とありますが、能楽学会の関西能楽フォーラムでも見られる機会が訪れそうです。これまでは最古とされていた「名家の面影」も同時に公開されます。(なんて書くと、まるで映画ですね)。楽しみですね。

能楽フォーラム「初期映像で見る能」

2011年12月10日(土)13時半~16時半
「昭和初年の【名家の面影】を見る」
恵阪悟(大阪学院大学非常勤講師)

2012年3月4日(日)13時半~16時半
「大正初年の金剛謹之輔の片影」
金剛永謹(シテ方金剛流)
横山太郎(跡見学園女子大学准教授)
中尾薫(大阪大学専任講師)

会場:京都女子大学J校舎2階J202教室
参加費:500円(能楽学会員は無料)
事前申込不要
問合先:神戸女子大学古典芸能研究センター 078-231-1061

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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