「吊」と「弔」は同じ字!?

「吊らい」

「直道の吊らい」??

2月7日の「能のことばを読んでみる会」《巴》にむけて各流の謡本を読んでいますと、現行の金春流の謡本に「吊(とむ)らい」とありました。これが不思議に思いましたので、Twitterで以下のようにつぶやいてみました。


…とTwitterでつぶやいたところ、林瑞享さんに「弔」と「吊」は異字体なのだとお教えいただきました。

手持ちの漢和辞典『漢字源』には以下のように書いてありました。…といいますか、つぶやく前に引くべきだと反省です。

「弔」…象形。棒につるが巻きついてたれたさまを描いたもので、上から下にたれる意を含む。また、天の神が下界に恩恵をたれることをいい、転じて他人に同情をたれることも弔という。

「吊」…会意。「口+巾(ぬの)」で、布切れで何かをぶらさげるさまを示す。弔(たれる)が「弔問」の意に傾いたためつくられた俗字。

『漢字源』

別の世阿弥なうさんからは、車屋本(江戸初期の金春流謡本)にも見える旨、情報をいただきました。

果てには金春御宗家からも「弔」と「吊」について、日本だけではなく、中国や台湾での用例をお教えをいただきました。

やっぱり謡本を読んでいると勉強になるなぁ…と再確認しました。

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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