神事面・翁面 熱田神宮宝物館

熱田神宮宝物館に神事面を見る

すでに行ったのは1月近く前の話ですが、名古屋での思い出を記します。

名古屋に着いてすぐ、名古屋能楽堂に向かう前に熱田神宮に行きました。宝生流にのみ伝わる能《草薙》、金春流にのみ伝わる能《源太夫》の舞台であり、また、閉鎖されてしまいましたが、去年まで境内に能楽殿があったなど、能楽とも関わりの深い神社です。

目的は宝物館。熱田神宮サイトに「老爺」と「若人」の神事面が載っていて、面白そうだなぁと思ったのです。能楽を見るようになってから、他の仮面にも興味が出てきているのですが、能面に比べると顔の歪みが大きくて(能面も厳密には左右対称ではないですが)、それが表情を出していて、なかなか味のあるものでした。解説には神事としか書かれていませんでしたが、どんな神事に使われたのかも興味があります。

翁面や延命冠者の面もありました

またサイトには載っていませんでしたが、「延命冠者」と「白式尉」の能面も展示されていて、嬉しい驚きでした。ただ「延命冠者」の面は皺があったりと、どう見ても延命冠者じゃない…。展示の解説にも「その形状から形式化される以前の翁面と考えるのが適切と思われる」とあります。

それでも一応「延命冠者」としてあるのは、「藤原壽満(出目寿満)」という人物が面の裏に「延命冠者」と書いているため。

ちなみにこの出目寿満、もうひとつの「白式尉」の方には「聖徳太子作」と書いています…が、歴史的には聖徳太子が翁面打ってるわけないやん!と思ってしまう私です。もっとも、能面の伝書には聖徳太子を面打ちの一人としているものがありますから、そのあたりを踏まえた極めなのでしょうけれど…。

面自体はなかなか面白いものでした。熱田神宮で3年前に催されたという「仮面の美-華麗・荘厳・幽玄の世界-」展の図録も買って、ホクホク顔で帰った私でした。伎楽面・舞楽面・行堂面・神事面・能面・狂言面など、仮面の写真盛りだくさんで、とっても幸せでした(^^)

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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2件のフィードバック

  1. 杜若 より:

    こんにちは。
    三年前になりますかね、仮面の美展。
    行きましたよ。
    おもしろかったです。
    なんか、能面のルーツをたどる感じでした。
    図録をゲットされたのですね(^^)
    熱田神宮は恒例の薪能もなくなってしまいました。
    能楽殿も閉鎖。淋しい限りです(泣)

  2. 杜若さん、こんにちは。
    「仮面の美」展、もっと近くなら行っていたことでしょう。
    図録を見るだけでも面白いですから、
    本物を見れたら、どれだけ良かったか。
    まあ、図録だけでも手に入れることが出来て良かったと考えるべきでしょうか。
    熱田神宮から、能楽関係のことがなくなっていきつつあるのですね。
    寂しいですね、本当に。