和やかな中にも競い合う立合狂言会

立合狂言会@金剛能楽堂

出演者全員での写真撮影タイム

今日は金剛能楽堂で催された立合狂言会を拝見に行ってきました。最後は出演者全員が舞台上に集合されての写真撮影タイム。ネットでの拡散もOKとのことだったので掲載させていただきます。

狂言共同社、善竹家+茂山千三郎師、大蔵家、野村万蔵家、茂山忠三郎家。和やかな中にも、各家の若手・中堅が競い合う楽しい催しでした。比較的見ることの多い善竹家は別として、ほかの家となると、中堅・若手の方々を見ることは少なく、それぞれの家の風を知る絶好の機会となりました。

観客だけではなくて、後ろからも見られる会

楽屋内の話としては、今日は敢えて違う家の人に装束をつけてもらう企画もあったそうです。例えば善竹十番facebookページには、野村万蔵家の洗練された着付けにただただ感心!特に襟元が美しい仕上がりと記されています。

後見も違う家の人がつとめる形で、そうでなくても、幕際などから違う家の舞台をじっと見つめていたとのこと。少々過緊張気味に見える方もいましたが、こんな立合の舞台なのに、全く緊張感が感じられないよりはよほど好い印象を受けました。普段交流がない狂言各家の親睦よりも、狂言のこれからを担う役者さんたちが、それぞれの家を越えて、互いにライバルとして競い合う雰囲気が醸し出されていくと良いなぁと感じました。

初めて見る狂言×3

さて、演者側のことは話を聞くか、想像するしかないのですが、見ていた私としての立合狂言会。何が楽しかったというと、初めて拝見する狂言が三番もあったことです。《腰祈》《苞山伏》《二人袴》。

《苞山伏》は現在は和泉流にしかない曲で、和泉流においてすら珍しい曲ということなので、仕方ない部分もあるにしろ。《二人袴》は、自分自身でも見たいと思い、人様に「いろいろ見ているのに、なんで見てないの!?」とツッコまれ続けてきた長年の案件(違)だったのたので、満足です。

立合狂言会

2016年1月11日(月・祝)14時~。於:金剛能楽堂
★案内 野村万蔵・茂山千三郎
 《附子》や《柿山伏》の食べる演技や小舞《宇治の晒》の競演

★和泉流狂言《茶壺》(狂言共同社)
 シテ(すっぱ)=鹿島俊裕 アド(田舎者)=大橋則夫 アド(目代)=井上松次郎
 後見=野村万蔵

★大蔵流狂言《腰祈》(善竹家・茂山千五郎家)
 シテ(山伏)=善竹忠亮 アド(祖父)=善竹隆司 アド(太郎冠者)=茂山千三郎
 後見=鈴木実

★大蔵流狂言《長光》(大藏家)
 シテ(すっぱ)=大藏彌太郎(千太郎改メ) アド(田舎者)=大藏教義 アド(裁人)=大藏基誠
 後見=茂山良暢

★解説 野村万蔵・茂山千三郎

★和泉流狂言《苞山伏》(野村万蔵家)
 シテ(山伏)=野村虎之介 アド(山人)=河野佑紀 アド(盗人)=野村万蔵
 後見=井上松次郎

★大蔵流狂言《二人袴》(茂山忠三郎家)
 シテ(聟)=新島健人 アド(舅)=岡村宏懇 アド(太郎冠者)=山本善之 アド(兄)=茂山良暢
 後見=茂山千三郎

★附祝言《猿歌》全員

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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