英賀神社面掛式

英賀神社面掛式

地元の方々に支えられた《翁》

今日は姫路市の英賀神社面掛式を拝見してきました。

英賀神社の氏子さんたちで作ってらっしゃる「英賀神社古典芸能の会」が主催されているもので、奉納奉告神事の後、地謡のみの《翁》が奉納されるもの。11年前から姫路のワキ方福王流の江崎家が、10年前から翁大夫として、シテ方観世流の井戸和男先生が奉仕されています。

今年は江崎家が代替わりし、江崎金治郎先生が「正左衛門」に、息子の敬三先生が「欽次朗」を襲名されてからの初めてのもの。また昨年までは別の神社の奉納に参勤されていた井戸和男先生の息子さんである、井戸良祐先生もお越しになったので、自然と芸と伝統の「継承」が意識された奉納となりました。

使用の面は、江崎家が飛騨高山のある神社から譲り受けたというご神面。目じりの釣り上りは小さいですが、細かいことをいうと、白色尉ではなくて、父尉の面だと思われます。

《翁》は元日にも平安神宮で拝見していますが、優しいめでたさを感じて、何度拝見しても良いものですね。天気に恵まれ、比較的温かかったこともあって、多くの人が集まってらっしゃいました。「英賀神社古典芸能の会」の方々のご尽力が実られたものでしょう。

なお、昭和13年に兵庫県神職会が編纂・発行した『兵庫県神社誌』に引かれた「神社調書」によると、10月18日の例祭の時に能楽ありしも近来中絶とあります。

正月と10月、時期は違いますが、かつて存在した奉納能の復活になっているなら素敵ですね。

英賀神社面掛式

2016年1月3日(日)11時45分開演 於:英賀神社本殿
★《翁》
 翁=井戸和男 千歳(謡)=江崎欽次朗 地謡=江崎正左衛門 後見=井戸良祐

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柏木ゆげひ

大学の部活動で能&狂言に出会ってから虜→現在は会社員しながら能楽研究の勉強中。元が歴史ファンのため、能楽史が特に好物です。3ヶ月に1回「能のことばを読んでみる会」開催中。能楽以外では日本史、古典文学などを好みます。

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