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能・狂言のプログラムのことを「番組」といいます。 『花よりも花の如く』に「面白いですね、この『番組』ってとこが。TVみたい」「TVの方があとなんです…」というセリフがあるように、TVの「番組」という言葉は、実は能・狂言に由来する言葉なのです。 この番組の記し方には決まった形式があります。右に書いたようなもので、少々ややこしいですが、これが江戸時代以来の能・狂言の番組の記し方なのです。 狂言は上から曲名・シテ・アドなので、まあ見たままなのですが、能の場合、曲名のすぐ下に書かれているのはワキの名前であることは注意です。初めて見る人はシテと勘違いしていまいそうですよね。 ここに書いたのは基本的なもので、子方が出る曲の場合、ツレのさらに右側に書かれます。ワキツレがいる場合はワキの両隣に書かれます。太鼓は曲によっては入りませんが、その場合は笛は大鼓・小鼓の間の下に書かれます。 場合によっては後見や地謡の名前は省略されることもありますし、能『道成寺』の場合は鐘後見や狂言方後見も書かれるのが普通です。また『翁』の場合は全然違う書き方にまた代わりますし、囃子の入る狂言の場合の書き方というのは見たことがないので分かりません(汗) 一応、下に大阪能楽養成会の番組を拝借して、当てはめて見ました。 この場合、シテが「梅若猶義」師、ワキが「江崎敬三」師、小鼓が「高橋奈王子」さん、大鼓が「山本哲也」師、笛が「左鴻雅義」師で、太鼓はありません。アイが「善竹忠亮」さん、後見が「上野雄三」師と山下麻乃さん(この場合、観世流ですので左側に書かれている方が主後見です。ほかの流派では逆になります)、地謡は書かれている通りですが、下段の中央左側の「吉井基晴」師が地頭となります(これも観世流。金剛流・喜多流は観世流と同じ。金春流・宝生流は下段中央右側)。 もっとも最近は名前の上に役柄が書いてあって分かりやすいものや、一般の演劇のように、役種・役柄を順に記すだけの書き方も多いです。このHP上でも番組形式では書き難いので、役種・役柄を順に書くようにしています。 ただ、カッコ良さではやはりこの書き方が勝るように私には思えます。せっかくカッコ良い古来の書き方があるのですから、わかり易いような工夫を使いつつ、使い続けていって欲しいものですね。
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